一般的に、庭の手入れ、庭木の剪定という作業は、機械的に漫然と行われてしまうことが多いものです。つまり、明確な目的意識がないまま「伸びてるんで切りますね～」というイメージです。お父さんが自宅の庭木を切っている範囲においてはそれでも構いません。困るのは業者の基本姿勢がそういう状態ということです。
同業者を貶めたいわけではありません。世の中の大半の人にとって、庭の手入れの精度なんて興味のないことです。植木屋は庭木をたださっぱりさせる仕事。だから、業者は大多数のお客様の要望に応えているだけと言えます。
中には「いや、仕事にプライドはないのか？」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、多くの場合、多少品質が悪くても、安い方を選びます。そこから始まって、安かろう悪かろうの品質が植木屋業界のスタンダード品質になる。職人の技術もそこがベースになると、それ以上を教える人はいなくなり、人だって簡単には育たなくなるという悪循環が今の状態です。
それでその何が問題かというと、冒頭のただ「伸びてるんで切りますね～」の手入れは、美しくないんですね。
ですから、「なぜ、あなたの庭は美しくないのか？」という問いは、手入れ業者の仕事のベクトルが、「美しい仕事をしよう」という方向に向いていないから起こると言えます。また、質の高いことをしようとしても、やり方がわからないのです。
だから、例えば、ちょっと見る目のある少数の方が「もう少し自然な感じに剪定してもらえませんか？」と、出入りの業者さんにお願いしても、たぶん仕上がりはほとんど変わりません。そして、要望をかなえてくれる業者を新たに探し当てるのは、思いのほか難しいものです。何のつてもない方が、どうやったらうまくやってくれる業者を探せるのか？正直言って、私にもわかりません。
自宅の植栽や庭が「うまく言えないんだけど、なんか違うんだよね」という問題意識がないと、そもそもこんな話はピンと来ないかもしれませんが、心当たりがある方はうなづいて頂けるのではないかと思います。
ですから、そういったことでお困りの方のお役に少しでも立てるのではないかと私たちは考えています。