ある日のあるお客様との会話から、庭の手入れの仕上がりに対して疑問や不満を持つ方がいらっしゃるのだということに、私は少し驚きました。
その方は、それまでお願いしていた剪定によって、植えた当時の自然な味わいが失われていることに気付いて、「植えた時の自然な感じのままで維持できませんか?」そんな疑問を私に投げかけてきたのでした。
私はそれまでの経験から、庭の手入れの良し悪しの判断という点について、世間一般に対してあきらめにも近い思いを持っていました。
”所詮みんな手入れの質の違いなんてわからない”
”大事なのは『値段』次に『応対』で、『手入れの美しさ』なんてあんまりわからないし、気にしていない”
道端にひどく傷ついてうす汚れた犬が居たら、気になって足を止める人もいるかもしれません。しかし、庭の木がひどい姿になってしまったとしても、それを気に掛ける人は持ち主でさえも少ないものです。多くの人にとって、身の回りにある樹木をはじめとする植物の哀れな姿など目には入らない、どうでもいいことの部類です。
今に至っても、その考えは大きくは変わっていませんが、そのお客様との出会い以降、『剪定の自然さ』や『仕上がりの美しさ』に対して、稀に強いこだわりを持っている方がいらっしゃるということに気づかされました。
端的に言えば、「もっとましな手入れはできないか?」
そういった不満やモヤモヤは、一向に改善されないままなのだということもわかりました。なぜなら、それを解決してくれる業者が滅多にいないからです。